げーむろぐ

クリアしたゲームの備忘録。RPG/アクション/ADV/ノベルがほとんど。

リトルバスターズPE レビュー

諸々割り込みがあって1か月以上ちまちまやっていましたがようやく終わりました。

プレイ時間は40時間弱。キャラによってばらつきがあるのと、
文章読む以外の部分にどこまで時間かけるかで大分変わります。
1周目だけ野球とランキングバトルは一応全部見て、
ダンジョンとシューティングもNORMALで一通りやってこれくらい。

 

 

・総評

総合評価はA。

この手のゲームで主人公が内気なのは中々珍しい。

CLANNADの頃は普通にノベルゲーしていたのから一転、
色々お遊び要素が追加されていて結構よくできてるんですが、
周回してると結構鬱陶しくもありこの辺は何とも言えないところ。

鈴~リフレインに関してはほぼ文句無し。
ただその時楽しいだけが友情じゃないというのがよく描けています。
EX勢はリフレインから一気にやると感情がくちゃくちゃにされますが
ちゃんと無印とEXを発売当時くらいにやってれば良いスパイスになると
個人的には思います。

問題は無印からいるキャラクターのシナリオで、
もうちょっと世界のルールやらきっかけの出来事をチラ見せしても
良かったんではないかと思います。

その中でもモロに影響してるキャラと
あんまり関係なさそうなキャラが混じっていて、
どこまで共謀してるのかも今一わかりにくい。
間違いなく加担してる小毬はどちらかと言うと関係してない側だし
必要以上にややこしくしてしまっているような気がします。

 

作風がガラッと変わったのに併せて音楽に大分変わりました。
折戸伸治氏と戸越まごめ氏の担当分がかなり減って
外部の方(?)の担当分が結構多いみたいなのでそのせいもありそう。

 

以下、個別シナリオが終わるたびに更新してた分ですが、
ちょっと長くなりすぎるのでこのやり方も微妙な感じがしますね…

 

 

ちょっと趣向を変えて、ノベルゲーム(というか途中からキャラ別ルートに入るゲーム)
を一気にまとめるのではなくて、1個終わるごとにちょっとずつ更新していこうと思います。

 

西園美魚

いきなり難しい。

幼少期に一人で過ごすことが多くて作り出した疑似人格を、
当時の出来事を想起させる歌と孤独から復活させてしまう。

身も蓋もないことを言うと美魚の一人芝居に理樹が付き合わされているだけなんですが、
(どっちにも影がないのは何を暗示しているのかよくわからない…)
理樹自身もリトルバスターズの面々と出会うまでは似たような境遇であったこともあり
そこから救い出したいというのがよくわかる内容になっていたと思います。
…だからこそ美魚からは憐憫の情と捉えられてしまうわけでもありますが。

シナリオ構成としては、単純に短歌集だけがトリガーになるのではなく、
コンクールも込みで思い出すトリガーにしているのは良い。
(精神力で乗り切ってしまったり、あっさり忘れて後から思い出すパターンだと興醒めなので…)

棗兄妹も安易に同意はしないが信頼はしてくれているという、
他人はあくまで他人だが、だからこそ補い合える。というメッセージを強く感じます。
後は、善意を信じるか、悪意と捉えるかの選択肢が印象に残りました。

 

クドリャフカ

終盤駆け足過ぎて今一よくわからない点が多々…

今度は人種差別による疎外感から来る孤独。
やっぱり孤独な人間同士の集まりがリトバスなんかな?
(小毬はどうなんだか想像つきませんが)

一難去ってまた一難どころの騒ぎではないヤマが続きますが、
1つ1つが別物なわけではなく連鎖しています。
作中の蝙蝠の話にもあるように、
周囲に合わせることをやめたら安息の地はなくなる。

んで帰郷しても結局独りぼっちになってしまう…ところまではいいんですが、
諸々の伏線からクドが普通じゃなさそうな(1/4とかそういうんではなく)謎が残る。

「いつわりのライカ」という発言と、ドックタグから
本来の娘が早死にしたから作ったクローンか何か?とか一瞬思ったものの
そんな技術力はないと思われるので、Key特有の動物が人に化けてる奴か?
(元ネタと犬っぽさから安直な発想)

TrueEndみたいのがあればそっちでわかるかもしれないので一旦保留。

 

来ヶ谷唯湖

ややこしくなってきた。一応ラスト付近だけ3回やってみたけど尚わからん。
正式に(?)恋人同士となった次の日が延々ループする世界に突入するわけですが…

最初に考えたのが、姉御が恋愛関係の行く末をシミュレートしてるのでは疑惑。
理樹の記憶が曖昧で姉御がハッキリしてるならこれで片付きそうだが逆なので却下。

ラスト前の会話を総合すると、
姉御が恋愛感情を持ったこと自体が世界にとってのイレギュラーで、
ありえない分岐になってしまったから存在可能性の低い世界として消滅しかかってる状態?

ループ前に「その先を願ってしまった」とあるので、
リトルバスターズに所属するまではまだあり得る可能性だったが、
そこから踏み込んだらNG、とは捉えられるし筋は通ってそう。
(パラレルワールド的な話ではなく、呪いのような形かもしれませんが)

理樹が唯一正常な認識を保っていられるのは、持病関係で特異体質になっていそう。
(美魚の時も似たような状態になっていたし)

 

三枝葉留佳

やっとありがちなキャラとストーリーが出てきた。
超常現象も夢の世界もなしで心境の描写も非常にわかりやすい。

やたらともう片割れの出番が増えた辺りから大体予想通りに進んだが、
料理の伏線に関しては逆だと思ってたら、そっちもお前なのかよって感じだったのと、
両者の精神的に追い詰められてる演技が中々迫真だったので楽しめました。

明るい性格は過去の体験の裏返しか、そうすることで周囲との距離を
保つようにしていたのかと思ったら、回想を見るに素っぽい。ちょっと意外。

 

神北小毬

このキャラのみ、周囲から浮いているわけでもなく拒絶しているわけでもなく、
本作のテーマから外れていそうなちょっと特殊な立ち位置。
トラウマ持ちというのも含めて、CLANNAD一ノ瀬ことみに非常によく似ています。

塞ぎ込んだり疑心暗鬼になるわけでもなく、言動はそう変わらないものの
現状を正しく認識できずに虚ろな目をしているので中々怖いです。

理樹が過去に小毬と接点があったわけではないので打開に苦心した挙句に
そんな程度で済むなら過去に解決できなかったのか…?という感じで収束しますが
(旧)リトルバスターズの面々の思いやりが感じられるシーンが
非常に印象に残りました。

 

棗鈴

バスターズ以外とまともに交流できない鈴と、現状のままの生活を望む理樹が
人間として成長していけるかが骨子となっていて、
猫をメッセンジャーとして指示されるミッションをこなしていくわけですが、
その目的と仕掛人は察したものの意図が理解できない理樹がこの荒療治ともいえる
鈴へのミッションに対してどう立ち向かうか、が見所となっています。

リフレインに入る前でも鈴√は2周する必要があり、
1周目は殆どのミッションで実質的に理樹がすべて対策を考えて最後に実行するだけ、
となっているのが2周目では鈴のアイディアを理樹が補足するような形になり、
成長していられるのが感じられるとともに、何か引っかかりを覚えるような上手い作りになっています。
(いきなり成長しすぎて別人か?という感じですが5周とかやられてもしんどいのでまあ…)

人間的に大きく成長した鈴ですが、大詰めとも言える喪失感への耐性をつけるミッションで
それ自体への苦慮と逃げ場のなさから大きな心理的ショックを負ってしまい
振り出しに戻る、という所からリフレインがスタートします。

 

リフレイン

開始時点で既に恭介が憔悴しきっているため、
理樹がバスターズのリーダー代わりになって今までの生活を再現しようとしますが
真人と謙吾が離反してしまい、恭介を頼れない状況で理樹がバスターズを
再結成するところからのスタートになります。

ただの回想にするのではなく、当時のシチュエーションを再現した上で
最初からいるキャラクターの過去を明らかにしていくのは良い流れ。

再結集する過程で、理樹と鈴だけが認識できないループした世界で
2人を導こうとしていることがわかりますが、各自でスタンスが違うことがわかります。
恭介:無茶をさせても成長させて見送る
謙吾:無理はさせず楽しかった日々を繰り返す
真人:過度な干渉は避けるが、恭介に従う

ここに来てようやく謙吾が骨折後、人が変わったようになる理由がわかるのも
シナリオがよく練られているなと感心せざるを得ません。

恭介パート開始時点で別世界の視点で死にかけているような描写が出てきて、
すべてが繋がります。超ざっくり言うと壮大な臨死体験

紆余曲折を経てショックを乗り越えて生きていける程度には成長した見送りに
最後に野球をやることになるんですが、ここでも各位の反応が様々でもう…

個人的には真人が1番グッと来ました。慟哭はしないながらも間の取り方が絶妙。
ゲーム開始時点からは想像できない年長者ポジションになっていてギャップが凄まじい。

後は野球時にはいなかったものの、サブヒロイン内で優遇されているコマリマックス
小毬自身の√はそこまでではなかったものの、最後まで幸せスパイラル理論を
貫いてるのと、片方の髪飾りのお願いをあの土壇場で願い事決めるのにやられました。


救出ENDが存在するならリスポーン地点を変えるくだりに
あんまり納得いかないというのはありますがそこはそれ…

二木佳奈多

基本的にはハルカの逆verなんですが、ハルカ側が自身とリフレインを
経験してきたかのような立ち振る舞いをするので相対的に
カナタにより余裕がなくなっているような印象。

 

笹瀬川佐々美

恭介たちとはまた別の、誰かの願いが作った世界でのお話。
設定を共有しているだけで本編とはほぼ関係ないですが、
珍しく(?)素直に良い話でよくまとまっていました。

ナルコレプシーがもう起こらないはず、という部分は引っかかりましたが。
リフレインが助けようとして自分も巻き込まれる場合は確かにそれで助からずに、
助けられた場合は発症していないので何かありそうには思いましたが
理樹自身が自覚できるほど変わったのか?

実際にはナルコレプシーじゃなくてループの中でのみ発生する何らかの
症状というなら納得が行くんですが、持病というくらいなので
もっと前から発症していそうだし、精神が鍛えられたからと言って
治るようなものではないと思うのでその辺もよくわからない…

 

朱鷺戸沙耶

かなり特殊な立ち位置、恐らくこのキャラのためにEXがあるのではないかと。
(PEでも比較的ショッキングな死にざまや行為を匂わせる描写がある)

まず自身が述べていたように沙耶にはバッドエンドしか存在しないのは何故か。
「あや」のエピソードで語られたように、開始時点で既に死亡していて
恭介たちの世界に寄生するような形でやり残したことをやりたい亡霊のような存在だからと思われます。

(最終的にはボカされている、というか結局は次の周期に移行するので
 秘宝に辿り着いた事実自体はリセットされるわけなんですが、
 どちらにせよループを抜けたらどこにも存在し得ない)

このシナリオだけ急にダンジョンゲーと化すのも、
理樹の精神的な成長よりも沙耶の解放をメインとしているからだと思います。
沙耶(あや)自身は凄烈な過去の持ち主ですが、あくまでそれは過去のエピソードとして
プレイヤーに向けて語られるだけで、理樹はそれを知らず普通の恋愛関係でいます。
(これは沙耶自身が普通の恋愛をしたいと望んでいるので当然ですが)

ある意味で来ヶ谷と1番近い立ち位置ではあるのかもしれない。
後キャラクター単体で見ると中々良いキャラしてます。
他キャラとの絡みがほぼないのが惜しいですね…

 

…リフレインは最終的に大団円で終わったのでこれは賛否両論ありそうですが
どうなんでしょうかね。OPパロMADが大量に作られていたくらいしか
当時の世間の動きを知らないので何とも言えませんが。
(智代アフターはちょっと調べると色々あったとすぐ出てくるんですが)