げーむろぐ

クリアしたゲームの備忘録。RPG/アクション/ADV/ノベルがほとんど。

「イースIX -Monstrum NOX-」― 雰囲気は重めだが異能を駆使した探索がとにかく楽しい

イースⅧが良作だったのでイースシリーズも一通りやってみようと思ったものの、
Ⅰ・Ⅱのシステムが古すぎてちょっと…となり序盤でやめてしまっていましたが、
ⅨはⅣ(セルセタ)、Ⅷとシステムがほぼ同じというのと、
ⅧとⅨ比較すると遊んでて面白いのはⅨ、という声が多かったのでやってみました。

タイトル画面

概ね下馬評通りで、探索面でのアクション性が強く宝箱の取り方を考えるだけでも
楽しい仕上がりになっていますが、雰囲気はⅧと大きく異なり閉塞感が強いため
過去作のどういうところが好きか、でお勧め度合いは変わってくると思います。



概要

タイトル イースIX -Monstrum NOX-
開発 日本ファルコム
ジャンル アクションRPG
発売日 2019/09/26
プレイ時間 約27時間
総評 A

評価

Ⅷで著しくテンポや爽快感を欠いていた要素はほぼ改善されていて、
基本的なシステムやUIは変わらないながらもかなり快適になっています。
グラフィック面ではあまり変わらず、イベントシーンでの
キャラの動きがかなりぎこちないのは気になりました。


本作は定義としての『冒険』には当てはまりますが、
一般的にイメージされる異郷の地を旅する形ではありません。
都市から抜け出せなくなった状況を打開するために行動するため、
開放感や景観と言った面では大きく劣ります。

ただそれ故に縦の空間利用と建造物が入り組んだ地形での
異能*1を駆使した探索が楽しいという面はあるため、
どちらが好みかは人によって分かれそうです。

地形の問題ではなく明確に境界が引かれていて徐々に探索範囲が広がる

Ⅷの魅力はダーナ*2セイレン島の雰囲気が
結構な割合を占めていると個人的には感じているので、
アクションは苦手だけど雰囲気楽しみたい、という人は下調べした方が良いかも。
設定は11eyesに似ている部分がかなりあり、所謂中二病チックな要素が多いです。
(赤い夜関連の設定が似ているだけで他の部分は全然違いますが)


戦闘は戦闘中にも一部異能が利用できるくらいでほとんど同じ。
相変わらずフラッシュムーブ*3の効果時間中はDPSが跳ね上がるので
躱しやすい攻撃を把握することが重要。


攻撃属性変更のアクセサリが序盤から入手できるため
好きなキャラを常に使用したい場合に属性調整するのも良し、
一時的に属性を偏らせて弱点を突くのも良しと編成の自由度も高いです。






過度なネタバレは避けていますが、
メンバーが揃っているスクリーンショット等を掲載しているため
真っ新な状態でプレイしたい人は以降見ないことを推奨します。










メインシナリオとキャラエピソードについて

アネモナ*4の存在自体が伏線になっていたり、
過去作の要素を小出しにして徐々に真相を明らかにしていく手法は
中々良いと思いましたが、逆にアドルとアネモナ以外に関しては
キャラクターの掘り下げこそあるものの種明かしが唐突な印象を受けました。

これに限らず終盤は話の進みが速く、
重要なシーンで過去作の主要キャラが関わってくるんですが
そこも正直唐突に出てきたなと思えてしまい今一つ感情移入できませんでした。
Ⅳ、Ⅷしかやってないからなのかどうかはちょっと判断つかないですが…


一方で各キャラクターが自らの出自を受け入れて成長していく過程は
しっかりと描写されていて、特に最初に加入して且つ年齢が低めのキリシャは顕著。
サブキャラクターは逆に老練だったり素性が知れなかったりと一癖あるキャラが多いです。
どちらも好感度を上げることで見られるエピソードは必見です。

グッとくる科白も多い

探索の楽しさ

最初はアドルのクリムゾンライン*5しか使えませんが、
仲間が加入するごとに対応する異能を使用可能になり探索範囲が広がっていきます。
例えば『白猫』の異能ヘヴンズランは一定時間垂直に壁を登ることができるようになり、
それまで行けなかった高所への移動が可能になります。
異能の組み合わせで結構無茶な移動の仕方をすることも可能。
1都市という面積としてはかなり狭い舞台の中で縦の空間を上手く利用していることと、
異能を小出しにすることで継続的な探索を可能にしているのは良くできています。


非常に入り組んでいるため目視でどこに何があるのかわかりにくいですが、
それを解決する異能もあり攻略情報に頼らずとも収集を楽しく行えるようになっています。

左が通常、右が異能ザ・サードアイを発動させた状態。本来見えない宝箱が黄色く表示されている。


本来終盤の異能が必要なところを序盤で無理やり取れる、と言った
ケースがほとんどないのが惜しいところですが、あくまでアクションRPGであり
アドベンチャーではないのでジャンル違いの期待を抱く程の体験でした。


マシにはなった拠点防衛戦

Ⅷから引き続き、通常の戦闘は別に何波かに別れて襲来してくる敵から
拠点を守る戦闘が定期的に発生します。

Ⅷではシナリオ上重要な場面に差し込まれて非常に鬱陶しかったんですが、
今作では好きなタイミングで行動範囲を広げるために行うため
Ⅷの時ほどストレスには感じないようになっています。
とは言え面倒は面倒なのでなくしてもいいのではと個人的には思いますが、
本作はこのシステム自体が設定上で意味を持っていることと、
通常のダンジョン等に生息する敵とは違う敵が相手となるため
そう言った面でも「復習」の様な作業ではなく
1システムとして形になってはいると思います。


戦闘のバランス

Ⅷの様に中盤からいきなり敵のステータスが跳ね上がったりはせず、
大体一定の難易度のままコンスタントにプレイできます。

Ⅷの古代種は強いというかタフ過ぎて辟易していた感じでしたが、
Ⅳの様にボスが強いわけでもなく本作はノーマルのまま行くと逆に簡単過ぎてしまうかも。


別行動パートの窮屈さ

Ⅷではダーナを操作していたパートに相当する部分が今回もあり、
本作では監獄の内部から外部へ情報を流すために動き回るんですが
こちらでは異能や戦闘時のスキルを一切使用できず、
また本編以上に限られた場所を行ったり来たりすることになるため
自由度がかなり低いです。

ストーリー上の重要な伏線となってはいて、
実際初回は結構ワクワクしてプレイしていたんですが
何回もやらされる割にはやれることが増えなくて面倒になりました。


マップの使いにくさ

これはちょっとした愚痴の様な話ですが、
全体マップはある区画の中で移動してもそれが反映されないのと、
ミニマップの方位が固定でないのが非常に使いにくかったです。

*1:プレイアブルキャラクターごとに異なる固有の能力

*2:過去編全体とキャラクターの両方

*3:ジャスト回避

*4:感情がないとかではなく、人形そのもののキャラクター

*5:特定のポイントが一定距離内にあればそこに瞬間移動できる異能