げーむろぐ

クリアしたゲームの備忘録。RPG/アクション/ADV/ノベルがほとんど。

智代アフター レビュー

前回のCLANNADの続きで智代アフター(PE)をプレイしました。

key.visualarts.gr.jp


以前からOPの「Light colors」が好きでこれのためにアルバム買ったりもしていたので
そういう意味ではようやく、という感じです。

 

総合評価はA。
一応単体でやっても理解できなくはないですが、
智代の過去を知っていた方がすんなり入り込めます。
プレイ時間は10時間ほど、短いながらもまったく無駄な要素がなく、
作品のテーマがブレていないため中々濃密です。
終盤の展開にしても所々に不穏な描写が存在するので
突飛な展開でもなく綺麗にまとまっています。
ノベルゲーはシステム面でプラス評価ができないのでAはほぼ最高ランク。

 

 

 

テーマ

本作のテーマは、苦難を乗り越えた先に真の幸福はある、みたいな感じでしょうか。
朋也が諦めたり、智代を甘やかす選択肢を選んでしまうとBAD行き。
河南子の「永遠の愛」は存在するのか?という問いかけは
智代にとっての「宝物」がそれであった、という話で作品のメッセージと直接は関係ないです。
「飽きる」というワードが何度か出てきてからの河南子の登場で私もこれがテーマなのかと
錯覚しましたが、あなたにとっての宝物がどのようなものかはわからないし、
どうすれば見つかるかもわからない、とハッキリ言われています。
恐らく、ともが母親の元に帰らない場合のBADエンドで退廃的な生活を送るようになった場合に
子供ができた後に別れてしまう、みたいなシナリオも想定されてたのかな、とは思います。


キャラクター&シナリオ

CLANNADの時は完璧超人な智代と堕落し切っている朋也の対比を描いた
シナリオになっていましたが、今回は立場が逆転…とまでは行かないまでも
智代の精神的な脆さが浮き彫りにされた形になっています。
(この辺りは坂上家の家庭事情とも関係していて、両親の離縁未遂→鷹文の事故が
トラウマになっていて自分と同じような思いをして欲しくない、
という感情が強く出るようになってしまっていることもありそうですが)

ただ、今作の主人公は朋也ではなく智代であり、この弱さをどう克服するか、が見所であるので
パラレルワールドであったりましてやキャラ崩壊といった類のものではありません。
人間だれしも弱さがあり、いつかはそれと向き合わなければいけない、
と本作のテーマに合致したキャラクターが智代であった、というわけです。

 
河南子はどうせ頑張っても無駄なんだから適当に生きた方がいいじゃん、というタイプ。
ある意味裏主人公とも言えるキャラクターで、最初は上記のスタンスですが
河原での喧嘩、ともの母親探し、学校作りと朋也の行動に影響されて、
最後には記憶を失った朋也に思いをぶちまけるまでになります。
最初は努力しない天才タイプで更にウザ絡みする奴やんけ…と思っていましたが
やり終える頃には大分印象が変わりました。
言葉の節々に本作のテーマに関することや伏線が含まれるキーパーソンでもあります。


演出面

作品全体が1つのメッセージになっているので、どこどこが泣けるとかはあまりないです。
強いて挙げるとすれば病室での河南子が朋也に詰め寄るシーン。
迫真の演技でプレイヤーの気持ちを代弁してくれるのでかなり圧倒されます。
後は、個別のシーンではなくシナリオの構成として、3年後の1週間の後に
事故直後の話を持ってくるのは中々上手い手法だと感じました。
と言っても、なんだまた上手くやっていけそうじゃん…と思ったところで
衝撃の告白から絶望の淵に突き落とされるので、
この辺りもハッピーエンドを望む層からはウケが良くないのかもしれませんが。
智代がどれだけ辛い思いをしてきたか、を短い文章量で上手いこと表現できているな、と思います。


BGM

Keyのゲームとしては珍しく、印象に残った曲がほとんどないです。
OPがかなりお気に入りなので相対的に評価が低くなってしまっているのかも。


問題点

問題点を挙げるとすると、最後の最後のシーンは必要なのか?という部分。
色々調べてみるとどうもCS移植の際に追加された部分のようで、
オリジナルとの比較を見ると「長い眠り」が植物状態ですらなくハッキリ死去しているはず。
智代の幻想であれば結局朋也の死を乗り越えられていないことになってしまうし、
朋也の生死をボカしたかっただけにしては結末が変わってしまうまでやってしまっているような…
個人的には、智代が折れていなければ朋也が永眠しても何十年かして戻ってきても
そこまで差はないかなと思ってはいますが。


終わりに

CLANNADとは大分毛色が異なるので一概にオススメはできかねますが、
メッセージ性の強い作品をやりたいとか、キャラクターありきのノベルゲーに飽き飽きという方は
やってみると良いと思います。

…埋め込み用に公式見てみたらおまけのダンジョンゲームがあることに気づいたので
年末の新作ラッシュが落ち着いたらやろうと思います。