げーむろぐ

クリアしたゲームの備忘録。RPG/アクション/ADV/ノベルがほとんど。

「planetarian(+雪圏球)」― 人の心を動かすロボットの物語

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タイトル画面

ライターが涼元悠一*1、作曲が戸越まごめ*2とだけ知っていたので
いつかやるリストには入れてはいたんですが、
Ultimate Editionが新たに発売されるとのことでやる機会に恵まれました。

概要

タイトル planetarian~ちいさなほしのゆめ~
planetarian~雪圏球~
開発元 Key
ジャンル キネティックノベル
機種 PC
発売日 2021/09/03
傾向 終末、ロボット、星
プレイ時間 約3時間+30分
総評 B+

シナリオ

世界人口が激減した後の世界を描く終末ものではあるものの、
そこでの人々の生活はほとんど描かれていない。
現状を認識できていないロボットの少女・ゆめみと
出会った主人公の心情の変化を描いたものとなっている。

キネティックノベルとは

直訳すると「動く小説」。
ノベルゲームはよく小説や紙芝居と揶揄されるが、本作についてはそれも的外れではない。
本当に読み進めるだけである点に加え、演出やUIに関してもまた違った印象を受ける。
セーブをしおりと表現したり、オプション画面すらないのは小説の模倣を強調している。

ただし、語り部の俯瞰ではなく登場人物の視点になるので、
一般的なノベルゲームと同様に説明や補足が視点キャラクターの独白によって行われる。

雪圏球について

少々ややこしいが、雪圏球はplanetarianの15周年企画で
OVAとして制作された前日譚がゲームに逆輸入されている。
内容としては単に当時の様子を描いただけでなく、
ロボットの性質を補足する内容となっている。

評価

総合評価

冒頭でああ書きましたが、ことみシナリオの様に直球で泣かせに来る感じではありません。
そもそも舞台も構成も全然違うので比較はしにくいんですが、
どちらかと言うとじんわり来るタイプのお話になっています。
単に似たような話が見たいとなるとその目的の達成は難しいと思いますが、
単品であれば安くて短いので、重いゲームに挟んだりしてやってみてもいいと思います。


プレイ時間は非常に短いですが、舞台が舞台なだけに日常パートの様な部分が存在せず
登場人物が2人しかいないためスカスカというわけではありません。
値段的にも元々ロープライスの作品なので、
とりあえずでUltimate Editionを買うと高く感じるかもしれません。
(単純計算でドラマCD分の方が金額的に占める割合が大きいこともあります)


最大の特徴は何と言ってもロボットの描き方が上手なところ。
想定外の事態に対応できないところや、人同士であればニュアンスから
読み取れる内容を馬鹿正直に受け取るといった融通の利かなさを存分に発揮します。
一方で、キリ番のサバを読んだりお喋り好きだったりと人間臭い一面も見せます。
非常時には通常の行動ルーチンよりもロボット三原則を優先することも含めて、
それらの行動が人を幸福することを目的に作られているためであることから
主人公は最後にあの選択としたのだと思います。


後はやはりプラネタリウムである意味ですかね。
設定上は人類が宇宙進出を試みたものの、結局月面に基地を作るのが精一杯で
それらへの失望から民衆は星に興味をなくしてしまい、
戦争が勃発する前から既に閑古鳥が鳴いている状態になっています。
プラネタリウムに人が来ない状態が普通になってしまったために
ゆめみが現状認識を改善できないままとなっているのも理由の1つではありますが、
戦争後に生まれた主人公がそもそも星を見たことがないので
心を揺り動かされる十分な要因になったのではないかと思います。

おまけ

星空鉄道とシロの旅、素晴らしき日々と続いて星を扱う作品をやってきて
天文の知識が皆無なのもありちょっとプラネタリウムが気になっていているところですが、
現実のプラネタリウムでコラボイベントをやるみたいです。

結構期間長めなのでワンチャン行けるかも。

*1:CLANNADのことみシナリオ等

*2:AIRリトバスのBGM等