げーむろぐ

クリアしたゲームの備忘録。RPG/アクション/ADV/ノベルがほとんど。

CLANNADレビュー

初投稿です。ゲームレビューと感想の中間のような記事を書いていこうと思います。
新作の合間に過去作をプレイしているので新旧問わずといった形になります。
最初からネタバレ全開なので注意。

 

今回クリアしたのはCLANNAD(PS4)。

dengekionline.com

皆知ってるね。

 

総合評価はA-。
と言ってもノベルゲーなのでほぼシナリオと演出の評価。
プレイ時間は30時間弱でちょうどいいくらい。

 

 

 

評価点

ほぼAFTER STORYとことみシナリオに集約される。

 

AFTER STORY(描写)

AFTER STORY内だけで6年近く経過しているが、
その中で物理的な環境であったり、人間関係であったりで
登場人物を取り巻く環境が変化し続けて苦労する描写が多い。
ただその中でのささやかな幸せが随所に散りばめられていて
暖かい気持ちになれるような作りになっているのが非常に良い。

 

AFTER STORY(演出)

最初はTrueEndに辿り着けないようになっている。
何故かというと通常Endから冒頭に繋がるようになっていて
世界設定にかかわる重要な演出がされているため。
マルチエンディングを周回する意味が全体のシナリオに組み込まれている良い演出。

 

ことみシナリオ

全体から見るとかなり異質なシナリオとなっていて、今までのKeyの展開に近い。
唯一の朋也と過去の接点持ち+トラウマ持ちであるため必然と言えばそうだが、
伏線の使い方が巧みで、ラストも無理がない形で故人の感情を持ってくる完成度の高さ。
後はテーマ曲に作中の演奏シーンの曲が使われているのもキャラの個性を出せている。

 

ギャグ

ことみのおっさんギャグとか問題児漫才が割と面白い。それと、便座カバー。

 


不満点

主にTrueEnd選択肢後のシナリオと、学園編のシナリオの分け方について。

 

TrueEnd

Trueへの分岐選択肢からエンディングまでが非常に短い。
ここで幻想世界と願いの叶う場所の説明を少ししておく必要がある。
一旦通常Endを経由する必要があるからそこまで違和感はないものの、
ともすれば、ご都合主義のハッピーエンドにしか映らなくなってしまう。
そうでなくとも光を全回収したプレイヤーがこれだけ?
と思わないような何かは必要だと感じた。

 

サブキャラのシナリオ

メインキャラとサブキャラで重みがまったく異なるのはわかるが、
独立したシナリオとしてよくまとまっているのは春原兄妹くらい。
他はそれぞれメインキャラクターのシナリオ中に吸収させてしまって良かったのではと感じる。
(幸村は渚からの派生なのでこれに当てはまっているか)
宮沢有紀寧に関しては他のヒロインとの接触がまったくなく、
シナリオ自体も短めで中途半端な終わり方をしてしまうため、
そもそも必要だったのか、という疑問が残る。


賛否両論

今までのKeyからの変遷

学園編は今までのKeyの流れを汲みつつも
不思議現象と強烈なキャラ付けが控えめで恋愛描写強めになっている。
これが明確に表現されているのが坂上智代と藤林姉妹で、
一ノ瀬ことみ伊吹風子に関しては今までのKeyらしいキャラクター。
と言っても妙な性癖が多少減った分が暴力的な描写に回されている感があるのと、
ちょっとベタベタしすぎな展開があるので慣れるまで少々戸惑いがある。
そもそも対象年齢が異なっているしどちらがいいのかは一概に言えない。

 

システム

システムが少々ややこしくメインヒロインだけのルートが個別に
存在するノベルゲーというよりもYU-NO辺りに近い。
AFTER STORYに関しては評価点にも書いた通り、
最後までやり切るとこの作りになっている意味がわかるような
演出になっているので長所と捉えているが、問題は学園編の方。


掻い摘んで説明すると、単純なシナリオクリアとは別に
登場人物の迷いや柵を解決することで光を入手できて、
それを全部集めるとAFTER STORYに進めるのだが、この入手条件が少々ややこしい。
・Aのシナリオをクリアを見てからBを攻略しないとAの光を入手できない
・Aを進めないとBと絡むことができず、B狙いでAを切る選択をしていると攻略できない、等
攻略をまったく見ないでやると分岐が確定するまでが結構難しいため、
プレイ時間が40h超えたりしてしまうことも想定される。

 


BGM

「空に光る」がかなりの名曲。
哀しいようでいて晴れ晴れとしているようでもある不思議な感じ。
後は「遥かな年月」、「Etude Pour Les Petites Supercordes」、「渚」辺り。
曲調はAIRに近い。舞台設定的にはその前二作に近いが作曲・編曲者の影響か。

 

世界設定についての考察

そもそも幻想世界とは?

街の精神世界のようなもの。
肝心の願いが叶う場所についての具体的な描写がほぼないので、
その場所自体にどこまで意味があるのかは不明。
幼少時の渚が一命を取りとめた時に街が干渉した影響で、幻想世界が認識できるようになる。

 

渚の病気の正体は?

渚と街が相互干渉する状態になっているので、街の状態の変化が渚にも影響する。
秋生の言動を見るにおそらく街の開発とか住人の精神状態が大きく影響しているが、
渚の体調が悪くなる=幻想世界が雪に埋もれている、状態だと推測でき
幻想世界の獣が街の開発の暗示なので自然が失われることとは直結しない。
(実際ファミレスができた時に朋也と秋生は衝撃を受けているが渚はそこで働いてすらいる)
自然がどうこうではなく、失われた場所が多くの住人にとって思い出の場所であった場合に
喪失感が乗算でかかってくるため渚の体調の変化として表れる。
しばらくして住人たちが慣れてしまうと渚の体調は回復する、といった具合になっている。

 

幻想世界の少女は汐っぽいけど?

渚は単に幻想世界とリンクしていたに過ぎず、
人形(朋也)と少女(汐)が出てきたのはAFTER STORY本編終了時。
出産までは幻想世界とリンクしているのは渚で、
その中に汐が自らを登場させて朋也の意識も引きずり込んでいる。

 

最後に樹の傍にいた少女は?

幻想世界の中にいた汐。
渚が生き残ったため、幻想世界で朋也をループさせていた汐が幻想世界から解放された。
その時点で幻想世界の中の汐という存在が発生しなくなるはずであるが、
因果関係とパラレルワールドの細かい部分を突き詰めると矛盾がいくつも
発生してしまうし、完全クリア時に出してくるのに
これ以上相応しいキャラクターはいないはずなのでこの結論。