「天使のいない12月」 - 思春期の人間関係の描写に特化したコンパクトなストーリー
10年以上前からタイトル自体は知っていて、冬にやるゲームの選択肢に据えてはいたんですが一昨年~去年に探した時は妙に高騰していて手が出せず、今年6000くらいのを見つけてやっとといったところです。
何でかわかりませんが、PCゲームを専門に扱ってるところの方が高値をつけているっぽくて、そうでない何でも屋だと少し安く買えました。
概要
タイトル | 天使のいない12月 |
開発 | Leaf |
ジャンル | ビジュアルノベル |
発売日 | 2003/9/26 |
プレイ時間 | 約8時間 |
総評 | B+ |
2003年と結構昔のゲームで、ノベルのアダルトゲームは『大ボリュームの純愛*1』一色になる前の作品。
コミカルなシーンが皆無で、主人公はスレているかヒロインと会っているかのシーンしかないのが特徴。
恋愛の延長線上にある行為という描き方は基本的にされていなくて、心理的な防衛手段の様な形で表現されることが多い。
陰惨とまでは行かないものの、退廃的な雰囲気に満ちている。
起動時の注意点
DVD-ROM版とCD-ROM版の2つが存在していて、CD-ROM版はWin10以降だとそのままでは起動できないので注意(そのせいか値段にも差があります)。
インストール自体はできて、起動時のディスクチェックの処理に必要なファイルが今のOSにはないみたいです。
古いOSから必要なファイルだけ持ってくるか、別の手段でチェックを通す必要がありますが、自己責任の上やり方は自分で調べてください。
アプリケーションを起動した時に何が起こっているか想像したこともないという人はDVD-ROM版にした方が無難です。
ついでにCD-ROM版はパッケージもフルプラPCゲームのでかい紙箱のアレなので、DVD-ROM版のトールケースの方が省スペースです。
評価
余計な描写がほぼなく思春期特有の悩みをヒロインごとに割り振って、スレてただけの主人公が影響されていく様な形をとっています。
古い作品+そういう作品であるので話し言葉がかなり汚いのと露骨な性表現が多く、ノベルゲームにありがちなウィットに富んでいたりおバカながら愛されるキャラだったりといったタイプの主人公でもなく、人によっては嫌悪感があるかもですが思春期の学生としてはリアリティがあります。
一応は学園物に分類されると思いますが、長期休暇や文化祭の様なイベントも一切なく、テーマ性重視の作品です。
テーマ的には須磨寺雪緒が存在意義に大きく傾いている以外は、概ね他人の中で自分の存在がどうあって欲しいか、を追求しています。
その中で肉体関係がどう役割を果たすかという点と、倒錯や依存状態を内包するケースも多く全年齢化すると本作の特性はほぼ失われそうです。
総合的に見ると、どれも「人の心の弱さを埋めるために他人とどう関わっていくか」。
麻生明日菜は陽の者とかそういう次元じゃなく距離感バグってんなという最初の印象にも理由があったりして、最初の印象では精神的に強い(余裕がある)様に見えるキャラほど、内面は脆いというのも見どころがある部分かなと思います。
攻略上の注意点
一見透子関係にしか見えない序盤の選択肢次第で、その後何を選んでも特定のキャラクターしか攻略できなくなる様なので注意。私は少し調べて以下のサイトを参考にしました。
Heat To Heart
Leaf→天いな攻略とリンクを辿るだけ、各キャラの攻略まで見るとネタバレあるかも。
タイトルの意味(ネタバレ注意)
クリスマスを盛り上げてくれるキューピットなんてものは存在しない、の意と思います。
プレイ前の知識が須磨寺雪緒が自〇志願者ということだけだったので、BADENDしかない様な作品なのかと思っていましたが、「天使のいない=救いがない」の意味ではなくてホッとしました。
*1:という表現が的確が微妙ですが、選択肢による好感度の上下でシナリオが分岐して、分岐確定後にシリアスさが増していくタイプ