「アカイイト / アオイシロ HD REMASTER」紹介・感想
概要
和風伝奇と銘打っているとおり、古代~中世の日本を起源とするオカルト要素を設定の核としてストーリーが展開されていくアドベンチャーゲーム。
もう1つの目玉として百合描写が挙げられ、アカイイトではあくまで必要な行為としてだったのが、アオイシロではより露骨なものとなっている。
はじめに
アカイイトはグッドエンディングを全部見たんですが、アオイシロはバグを回避できずに途中でやめました。
アオイシロ、急に通常スキップ効かなくなって固定スキップは解除できなくなった上に未読部分も勝手に進む。あとYボタンのポーズが効かない。ここで終わりか。
— そ ーげつ (@cross_claymore) 2023年9月21日
なので評価はなしにします。
少し調べた感じ、アオイシロはPS2版も問題が多く、やるならPC版*1が1番いいみたいです。
リマスター版はジャンプ機能等もなくなっていてシステム的には劣化移植っぽい。
アカイイトとアオイシロの違い
アカイイトはシンプルながらもコンセプトが独特でよくまとまっています。
アオイシロはボリュームが増えてより幻想的な雰囲気を醸し出しているものの、アカイイトから流用する部分と新しい部分が溶け合っておあらず、取ってつけたような部分が多いです。
単純な面白さや好き嫌いは分かれそうですが、一貫性ではアカイイトに軍配が上がります。
アカイイト
神話を基にした設定が多く、旧くから神・鬼との関わりの深い家が中心となっています。
(生来の鬼は怪物としてではなく神に類するものとして扱われている)
血が重要な要素になっているのも単に血統としてではなく、霊的な意味合いが強いです。
作中では特に性差について言及されていませんが、この血を直接与えるシーンの艶めかしさが百合っぽい絵面を演出しています。
分類上はノベルゲームですが、フラグの管理的にはADVっぽくて結構前の選択をミスしていてBAD ENDになったりします。
事実上の攻略順が存在することもあり、難易度は比較的高め。
アオイシロ
こちらは御伽噺の鬼退治の話がシナリオの軸になっていて、神・鬼の扱いはアカイイトと大きく異なります。あっちには神話由来の設定が多かったのに対して、仏教的というか大陸的な文化・思想が中心になっています。
舞台を山から海に変えているのもこの辺りが影響していて、人ならざるものとの境界がハッキリしたことによって人間同士の関係がより複雑になっています。
この様に基本的にはアカイイトと対照的な作りをしているんですが、一部はそのままアカイイトから引き継いでいます。前作をやっていないと恐らく???となるし、やっていても無理やり入れて来たなと思わざるを得ないシーンも。
BAD ENDへの流れやシステム的な部分も含めて粗が目立つ作品であることは否めません。
感想
アカイイト
百合で有名らしいのを予約した後に知って身構えていたんですが、そこは別に大丈夫でした。
結構複雑なフラグ管理をしていてBAD ENDになりやすい方がキツかった気も。
赤い糸に血と縁の両方の意味を持たせていてどっちもメインとなる要素にできてるのは綺麗にまとまっていたし、タイトルの言葉遊びが言霊ともリンクしていて面白かったです。
細かい部分でも鬼が長寿なのは石長比売の眷属だからという解釈にしていたり、鬼切りが崇仏論争の側面を持っていたりとかその辺もよくできているなと思います。
ただ、終わり方があっさりし過ぎかなとも思いました。
あとゲーム性からか結構重要なイベント中にもBADに分岐することがよくあって、この展開からそうなる?みたいに感じることも多々ありました。
GOOD ENDを消化する様に終えてしまうことが多かったのは残念な点かなと思います。
『赤い維斗』みたいに印象に残るBAD ENDもあるのでそこは一長一短ですが。
アオイシロ
まず序盤~中盤、めちゃくちゃ読み進めにくかったです。
アカイイトは神代~奈良くらいが起源なんですがこっちは平安あたりで、御伽話・仏教・妖怪の蘊蓄がとにかく多く、古い言葉が多用されるためすっと読むことが中々難しい。
これ自体が面白いかどうかはかなり人に依ると思うので、百合描写目当てでこれを食らうと結構険しいと思います。
これらを乗り越えて個別ルートに進むとやっと話が進んで、特に卯良島に渡ってからは緊迫感があってちゃんと面白いです。ですが、最初のルートから情報出し過ぎではと言うのと、渡ってからの尺の割には分岐がやたら多い。
この辺は後述する内容も込で攻略キャラクターごとにシナリオを分ける、という作りに単純に失敗している気がします。保美・汀ルートだけで、門(とその向こう)の詳細と、主人公の特性*2以外はほぼわかってしまった様な感じです。
そもそも保美以外は立ち位置がよくわからんキャラクターばかりなので、ある程度ハッキリさせないと作りにくかったのかもですが… 基本この手のゲームはそのキャラクターのルートで徐々に素性やら過去やらが明かされてくれないと、こういう作りにする意味が薄い様な…
ストーリーの核に直接絡んで来ないキャラクターがやたらと多いこともあり、アカイイトに学園モノと上記の蘊蓄を合体させた感じでかなりテンポが悪く感じました。
あと吸血描写は前作からそのまま持ってきていて、必然性が薄いというか設定的にそんな意味ある行為なの?という印象が拭えず。
(最後までやるとわかるのかもですが、自分がやった範囲だと血に意味があるのはヤスヒメだけに見えました)
後はBAD ENDになりやすいのも、アカイイトの時は非力な少女の単独行動だったので割と納得はいったんですが、今作はそうではありません。
無鉄砲過ぎではというのと、脈絡のない死に方が多くないかとはかなり感じました。