げーむろぐ

クリアしたゲームの備忘録。RPG/アクション/ADV/ノベルがほとんど。

「アメイジング・グレイス」プレイ記

タイトル画面

冬にやるゲームとしてキープしておいたものの、「どーせ信者が持ち上げてるだけだろ…」と思っていました。というか始めて5時間くらいはずっとそう思いながらプレイしていて難癖をつけるような見方もしていたんですが、最終的には自分の偏見を改めて素直に面白いと思える作品となり、やって良かったと思える作品でした。


イブに開始して年が明けてからクリアしたんですが、そこまでクリスマスにやるべき作品でもないと思います(本場からするとそうではないのかもですが、宗教色が強く日本のクリスマスの感覚とは結構異なる)。
しろくまベルスターズのクリスマスにやるべき度を100とすると、本作は30くらい。


評価

冒頭でべた褒めしたものの、伏線・演出については正直普通レベルです。ループものとしてのシナリオ進行もやきもきすることが多くイマイチ。


では何が凄いのかというと、『設定の作り込み』と『個別シナリオの使い方』です。
美術を設定の核としながらも特に素養のない人でも理解できる内容に留まっていて、「アート=(善し悪しはともかく)何か凄いもの」みたいな感覚でいる人にも共感できる様に落とし込んでいるのは凄い。
後者はネタバレ抜きで言及するのがちょっと難しいですが、ループものとしての進行はイマイチな反面、ヒロインごとに分かれるシナリオを1ループに当てはめる作りを上手く利用したミスリードには感心しました。


システム面は完全にノベルゲーではあるものの、シナリオの骨子はADVのそれに近いです。
もどかしく感じる部分も、本来自分で操作する部分を無理やりノベルに落とし込んでいると考えると納得はできる範囲。そっちが好きな人にもオススメできますが、序盤しばらくは所謂ギャルゲーのノリが続くのでそこだけ注意。
ただ「とりあえず1周やるか」までの間でちゃんと真相につながる引きを作ってくれているので、ストライクな人以外でも最後までやり切れると思います。同じ美術を中心に据えた作品でありながら、サクラノ詩とは違いちゃんと最後までやって欲しい意思を感じました。

データ

タイトル アメイジング・グレイス-What color is your attribute?-
開発 きゃべつソフト
ジャンル ノベル
発売日 2018/11/30
プレイ時間 約17時間*1
総評 A+


######以下ネタバレ注意########







気になった点

回廊にない画家

ピカソは作中で説明があったとおりなので良いとして、ゴッホの作品は何故ないか?がわからないまま。宗教画しかないわけではなさそうなので、アトリビュートがないと駄目とかそういう話なのか。評価されたのは死後といってもそんなに経っているわけではない様なので、時期は問題ないはず。

1ループの進行の遅さ

評価の項にも書いたとおり、1ループ=1キャラシナリオとしているのである程度仕方ない面はありますが… ミューズ(ドラッグ)と落書きは怪しさ満点なんだからまず調べるだろ、と流石になりました。加えてヒロイン以外の調査の周は得られる情報も少なく、待ち受ける結末に対して焦燥感も感じられない等々。

ループものとしては微妙だが、美少女ゲーム*2とループものが融合したシナリオとしては上手い、というのはこういう感じで一長一短です。

アポカリプスで様子がおかしくなった生徒

何かのヒントっぽい感じの描かれ方だったんですが、結局何だったのかよくわからない。これ結構重要な要素で真相解明に一役買うと思っていたので肩透かしをくらった気分です。



######以下重大なネタバレ注意########










ネタバレ有りの評価・感想

アポカリプスの真相

大体評価の項で書いたとおりですが、これは見事でした。

まず自分の途中までの予想としては、仮想現実的な空間で耐久年数が100年で事故った、とか考えてたんですが、ここまでズレなくても100年の節目で何かやろうとして101年目に延期した、みたいな見方はできると思います。意図してなのか偶然なのかわかりませんが、全然関係ない100年の節目がまず1つの引っ掛けになっています。

そして美術を軸にしながらピカソとその作風さえ知っていればすんなり話が理解できること。追放されたとされて終盤まで登場しないリンカの人物像がこれとリンクしていて、このキャラの行動で一気に話が動くところも納得いくし皮肉が効いてるのも面白い。


こんな無茶な計画に人集まるのか?という疑問もあるにはありますが、孤児とかワケありが大部分を占めていそうではあります。


グランドルート

というかサクヤについて。途中で個別シナリオがあったのでサブヒロインの1人と思わせておいて、実は最重要人物の1人であったという作りには中々たまげました。

ループが二重になっている+敵対関係にある状態で恋愛感情を抱くという、極限状態での感情の描き方も中々見応えがありました。美少女ゲームを結構やっておきながら恋愛要素についてはあんまり興味ないこと多いんですが、ぐっちゃぐちゃな状態でもうどうしたらいいのかみたいな感じになってるのは結構好きです。

*1:日常パートはちょくちょく飛ばした時間

*2:ここではヒロインごとに個別のシナリオが存在するゲーム、として定義