げーむろぐ

クリアしたゲームの備忘録。RPG/アクション/ADV/ノベルがほとんど。

「イースX -NORDICS(ノーディクス)-」感想・評価

概要

イース」シリーズのナンバリング10作目。
このシリーズは過去に行われた冒険をアドルの手記から回想しているという設定からか、発売順と実際の時系列が一致していない。10作目ではあるものの順序としては2の次で4の前にあたり、全体では3番目と最初の方の物語となっている。
4,8,9と戦闘システムをほぼ変えずに改良するか要素をつけ足してきていたのを一新…とまでは行かないものの過去作とは違った攻略が求められる様になった。
また今作では自分たちの船を持つことになり、移動手段として使用できるのは勿論、これまでの拠点の性質を引き継いでいる。海上の移動が自由になったことで、フィールド・戦闘も陸と海でそれぞれ分かれて別物となっている。

ちょっと進めた状態のタイトル画面

データ

タイトル イースX -NORDICS(ノーディクス)-
開発 日本ファルコム
ジャンル アクションRPG
発売日 2023/09/28
プレイ時間 約30時間
総評 A

ポイント

  • ガードが非常に重要な戦闘
  • バイキングと北欧神話をベースにした設定
  • 航海で広がったフィールドと艦隊戦

全体通しての感想

概要で今作は新しくなった!みたいなことを書いていますが、「とりあえず操作していて楽しい」のは変わらずアクションRPGのお手本としての存在感は健在です。
ボス戦はあまりにも「ジャストガードを如何に決めるか」なゲームになってしまっている気はしますが、雑魚戦とはまた違った方向性の気持ち良さがあります。マグナディーガがちょっとあんまりなボスでしたがそれくらい。

8のストーリー・世界観とか9のアクション性・探索の面白さと比較すると突出した要素がなく、よく言えばバランスが良いです。
明確な短所も少ないので単純な比較は難しいですが、アクションRPGやりたかったら手堅い選択肢にはなると思います。
8,9との比較ついでに書いとくと、老人のいる世界とこちら側の世界でマナアクション以外にも干渉する要素が何か欲しかったなとは思います。


特徴

攻撃属性の仕様変更

斬打射に分かれていた属性が廃止されて、攻撃力にATKとBRKの2つが登場。
アドルがATK、カージャがBRKを高めに設定されているので基本この分担になると思います。
(シールドをカージャで剥がしてアドルに交代みたいなやり方)

過去作の仕様だと、属性がキャラごとに固定でバランスよく編成しないといけなかったので同じ属性のキャラ同士を組み合わせにくく、特に斬はアドルとかぶるので使いにくいといった問題がありました。全員のスキルを鍛えるのもやり込まないと難しかったので、キャラクターを切り替えながら戦うシステムとしては今作のちょうどよさはかなり良いと思います。

プレイアブルキャラが減った影響か、カージャのキャラデザインの完成度の高さも中々なものでダーナといい勝負できそうなレベル。


リベンジゲージとコンビシステム

アドルとカージャ2人が揃っている状態だとガードがコンビガードになり、受け止めた時にリベンジゲージが上昇します。このゲージはコンビスキル*1の使用時に消費されて、表示されている倍率の補正が乗り非常に強力になります。

ゲージの上昇量は通常1発で+0.1倍、10発受け止めることでようやく2倍になるんですが、ジャストガードすると一気に溜まり即座に2倍3倍のスキルを放てるように。
ダメージだけでなくブレイクにも補正がかかるので、ボス戦は自分から攻めるよりひたすらジャストガードを狙う方が効率的にダメージを稼げるようになっています。
雑魚戦では1体1体の動きにそこまで気を配れないこともあり、SPが尽きた時に狙ってみるくらいでお馴染みの熟練度を稼ぎながらなぎ倒していく形になることが多いです。

また全体のフレームがやたらと長いスキルが多く、適当に振っていると被弾が多くなりがちで、これが更に待ちスタイルを助長させる結果にもなっている様に思えます。
ただしジャストガードの猶予フレームの長さ、パワーアタック*2等の存在により、明らかにこう戦えと言っている感じも…
一気にリベンジゲージMAXになるエフェクトがパチスロかという感じ(やったことないけど)の気持ち良さでこれもある意味爽快感か。


ストーリー・設定

イースシリーズにしては珍しく*3、史実をベースにファンタジーの設定を混ぜ込んでいる作りになっています。

バイキングがモチーフであるのは開始してすぐに判明して、関係の深い北欧神話からも名前や設定を拝借している部分が多いです。
話の軸になっているロロも元ネタというかズバリその人という人物が存在していて、略奪に明け暮れていた生活から一転して入植を始めたグループのトップ、という、作中のルーンの石碑で語られる歴史が割とそのまんまです。
この辺りの都合とシリーズ全体の時系列的には最初の方に位置する作品であることも影響してか、8,9と比較するとスケールは控えめ。

対して敵対勢力はいつもどおり人間ではなく、不死の存在であるグリーガー。
特殊な能力を行使しないと死なない敵という設定がアドルら活躍のための露骨な設定として用意されている一方で、戦死が誉れだった価値観の中で死に場所を選べないどころか死ねないという解釈でより相容れない存在として描かれているのは結構面白いポイント。
表向きには死生観がバイキングと対立する一方で、根底の部分では「停滞と良しとする保守的な価値観の具象化」という点でアドルの探求心とも対立しているのでシリーズ全体から見ても影響が大きい作品かもしれません。
アドルの故郷の回想や、クリア後に未来が垣間見えるイベントもありアドルの考え方に与えた影響は大きそうです。


探索

8と9の要素が両方あるもののどっちつかずになっている印象で、上陸した小さい島を隅々まで回るだけになりやすいです。
特に埋もれた財宝が面倒で、マナアクションで9の人形の異能みたいな周辺サーチができてそれを使って探すんですが、9でアレが便利だったのは都市の内部という複雑な空間で透視できるからであって、見通しが良い場所で強制されるのは何か違う。

また大きく移動するスキルを使ったり高低差を利用して正規でなさそうなアイテムの取得とかもほとんどできず、後述する航海時はともかく陸上の探索はかなり作業感が強めです。


航海システム

バイキングの物語ということで話と噛み合っている要素だとは思います。
ただ移動をマナセイルに頼る部分が大きく、特に序盤は流れから外れた部分に非常に行きにくく移動を制限されている印象が強い。これが改善される中盤以降は逆に移動速度が速すぎて、普通に移動してると仲間との会話を途中でぶった切られることが多い。
という感じになり、この辺の塩梅は難しい部分だな~と思いつつ気持ちよくプレイするのが中々難しくはありました。

外洋に出ていくのではなく湾内で完結しているのがストーリー面では良い形で作用していますが、探索面で見ると窮屈な印象を受けてしまうことが多い様に感じます。


奪還戦

8,9でもあった、評価ランクがつく特殊な戦闘が艦隊戦になったのはかなり良い変更。
イースの戦闘の良いところは爽快感に加えて疾走感でもあると思っているので、防衛戦の様な形だと損なわれてしまうこともあり、フィールド外の戦闘が普通の戦闘とは違う形であるのは飽き防止としても、戦闘の爽快感を保つためとしても良いアイデアだと思います。
防衛戦ではなくて奪還戦であるのも良かったかも。他の大体のゲームでもそうですが、多数の敵から拠点を防衛するタイプの戦闘はストレス溜まりがち。

*1:2人の両方のSPを消費することで出せる、ド派手で広範囲+高威力の攻撃

*2:前兆がありコンビガードしないと防ぐのが難しく、更にジャストガードすると特殊な反撃ができる攻撃

*3:少なくとも3,4,8,9をやった限りでは