げーむろぐ

クリアしたゲームの備忘録。RPG/アクション/ADV/ノベルがほとんど。

「ランス9 ヘルマン革命」― シンプルかつ王道なSRPG、だがシンプル過ぎる。

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タイトル画面

いよいよ9作目まで辿り着きました。
03のトーマ、Ⅵのパットンを見てきて、
ヘルマンが舞台となる本作への期待は高まる一方だが果たして…?

概要

タイトル ランス9 ヘルマン革命
開発元 アリスソフト
ジャンル SRPG
機種 PC
発売日 2014/04/25
傾向 FE,SRWW系のマスゲー、祖国奪還
プレイ時間 約30時間(2周)
総評 B+

どんな作品?

シリーズ内での位置付け

ランスシリーズ9作目は大陸北部のヘルマンが舞台。
シィルの呪いを解く鍵を探すランスと、ランスの力を借りたいパットンの思惑が合致し
ランスとしては珍しく特定の目的を持った上で国相手に戦争を仕掛けることに。
今までの様に多様なスタイルのRPGではなく明確にSRPGを意識して作られていて、
レベル神や魔人の様な不条理な存在が登場せずあくまで人同士の争いに終始する。

祖国を追われた皇子が革命軍を率いて国を取り戻す

シリーズの主人公であるランスとは別に、本作はパットンも主役でありダブル主人公。
魔人が登場しないばかりか他国の干渉もほとんどなく、
敵方も日々衰えていく祖国に対して懐く感情は様々であり、
軍事大国ヘルマンならではの忠義や誇りを感じさせる描写が多い。

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無能な総司令に1軍副将が反発するシーン

ランスの適当さ、というか行き当たりばったりを奇策や強運で凌ぐスタイルも、
本作の「精鋭部隊の電撃戦で中枢を抑えて雑兵を無力化する」方針とマッチしている。
(流石にそれだけではどうにもならず、途中から軍師で奇策を補強することはある)

非常にシンプルなマス目ゲーム

所謂FE系のゲームなんですが、地形や高低差の概念すらなく採れる行動も3つのみ。
知っている中では、初代うたわれるものが一番近い。
こちらが寡兵で敵方は続々と援軍が来ることが多く、
どれだけ範囲攻撃に巻き込んで一掃できるかが肝。

また、ランスシリーズの特徴であるレベルがメタ的にどころかシステム上にも存在しない。
熟練度を好きなパラメータに振り分けられるタイプの成長システム。
カウンター、ねばり*1、再行動と言った強力なシステムに確率が絡み、運要素は強い。


評価

総合評価

ランスシリーズの中で、それも終盤に近い作品なればこそ成功したSRPG化。
ヘルマンの堅苦しいお国柄とランスの身勝手さがいい具合に混ざって飽きが来ない。
決戦が近いにも関わらず魔人は今作登場しないが、それも頷けるストーリーとなっている。
戦闘と幕間の繰り返しではなく、シーンごとのイベントの中に戦闘つきのもある形で、
続きが気になるとやめ時を見失ってしまい一気に進めてしまうことも。

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イベント選択シーン。剣戟のアイコン付きが戦闘有りのイベント。


反面、ゲーム性の部分では物足りないところが多く、
戦闘時/成長時どちらも採れる選択肢が少なくやり込みには向いていない。
それでいて2周目限定のイベントもあったりするのが惜しい。

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そういえばあいつどうなった、の裏側が2周目に開放される仕掛け自体は良いが…

プラス寄りの評価

王道のSRPG

この手のSRPGの多くは故郷を追われるところから始まって、
少しずつ仲間を集めてというプロセスを経ることが多い。
亡国の皇子であるパットンは3作目で既に国を追われていて、
6作目で再登場してランスと行動を共にしているため、
開始時点で既に成長を遂げていて大勢協力者がいる状態からスタート。
寄り道や離反に頼らなくて済むのは敵方に魅力を感じさせる上で
大きなメリットになったのではないかと。

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序盤も序盤で他国の最強クラスのキャラが加入するスピード感
爽快感

所狭しと集結した敵兵を必殺技で一網打尽にする瞬間はやっていて非常に気持ちいい。
細長いところではリックや志津香の必殺技でかなりの数巻き込めるので、
そういう形のマップが出てくるだけで何体まとめて倒せるかばかり考えてしまう。

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幸運とかかけたくなる瞬間

マイナス寄りの評価

ボス戦の少なさ

敵の幹部級のキャラクターとの戦闘がイベントシーンで済まされてしまうことがほとんど。
その割にぽっと出の面倒なだけの奴がラスボスとして君臨することもある。何でだ…
システムがシンプル過ぎる関係で、一騎打ちに近いシーンでは運要素が強くはなるが。

掛け合いがない

因縁のあるキャラクター同士が隣接しても特に会話が発生しない。
将軍クラスがまともに戦闘に出てこないので、ほぼミネバ戦に関して。
リックとかヒューバートはリーザス進行時のミネバに対して浅からぬ因縁があるはずで、
どの様な会話があるか期待してたが特に何もなく拍子抜けしてしまった。

少数キャラ固定のステージが多い

特定のキャラクター1~2人だけで攻略するステージがそれなりの頻度で出現する。
主人公2人に関しては仕方ないにしても、それ以外だけの組み合わせもままある。
強力なアイテムを一時的に付け替えるとか、余剰資金を武具強化につぎ込むことで
急場は凌ぐことができるものの、個人的には好みでない傾向。

敵が行動する時間が長い

もたついたり処理が重いわけではなく、純粋に敵が多すぎて行動にかかる時間が長い。
ヘルマン弓兵がひたすらガチャッってやってるの眺める羽目になるのは如何なものかと。
Ctrl押すと敵が移動する速度だけ速くなる。惜しい。

どちらとも言えない評価

キャラクター間のバランス

終盤のジョブや加入キャラがゲームを破壊するような事態にはなっていないが、
強い/使いやすいキャラがずっとスタメンといった状況になりがち。
そもそもSRPGにしてはキャラ数が少なく、
カスタマイズの余地もあまりないので当然と言えば当然だが…

基本的に後衛を挑発持ちで守って、という運用が想定されているはずで、
挑発持ちのクラスのみ色々と差別化されていて花形になっている。が、
それにしても1人だけ通常攻撃が射程2だったり戦姫が万能過ぎる。

浮要塞

あまりにも魔活*2だけ強すぎる様な。
浮要塞の援護可能なステージが限定的であるのが救い(?)だが、
魔活の小型化にひたすらつぎ込んで並べて、志津香を再行動させ続けると楽に一掃できる。

他に変わった使い方で有効活用できそうなのが、
魔手で標的や魔物使いを真ん前に持ってくるみたいなケース。

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魔物使いを自陣に移動させて始末すれば、配下の魔物は同士討ちを始める

これ以外はほとんど使わなかった。
要塞に乗り込まれたことがないので、難易度上がるとまた変わるのかもしれないが…

終わりに

欠点を上げる部分が多くなってしまったものの、
ランスシリーズのキャラクターが好きでストーリーを楽しむ分には
のめり込んでしまう面白さはある作品なので、オススメできます。
(そんな人はもうとっくにやっているでしょうが)

Shade氏がアリスソフト退社後初のランスシリーズですが、
音楽の質が下がったというような印象も特になく。
Helman Battle2とか結構好きです。

*1:食いしばりと同義

*2:ターン終了時限定で任意のキャラクター再行動