「白詰草話」感想メモ
概要
元は漫画(成人)畑の出身である大槍葦人が代表を務めるLittleWitch第一弾。
経歴を活かした独特な作風に仕上がっている一方で、
当時の流行の影響を強く受けている作品でもあります。
感想
ノベルゲームは紙芝居とか揶揄されることも多いですが、あれはあれで演出に特化した一つの形態なんだな、というのを再認識できたという意味では良い作品でした。
何というか奇を衒った*1スタイルにすると、スタンダードな物に定番として備わっている良さに気付かされるというか。『水平線まで何マイル?』と同じ様な感じですね。
というのも、FFDシステム(後述)が最大の特徴でありながら多くの欠点を抱えているせい。
要するに吹き出しを使ってノベルゲームの画面が漫画っぽくなったイメージなんですが、画面の切り替え頻度が高いこととどうしても短い科白になってしまう問題が大きいです。
演出面では個々の要素は悪くないものの使い方が良くなく、テーマ自体は重めであるのに劇的な演出ができていません。
(絵柄とは合っている気はするので、戦闘とか壮大な計画等とマッチしていないのかも)
UIも凝ってはいるものの、テキスト瞬間表示*2と既読スキップがないので周回がキツい。
(普通のスキップもやたら刻んで速度調節できるものの、こんなに必要ない…)
また逆に、テキスト量は少なくテーマやキャラクター数に対して話自体は非常に短い。
尖っている部分はあるものの諸々チグハグで、作り的にも1クール分に無理やり詰め込もうとしたアニメみたいな印象。
データ
タイトル | 白詰草話 -Episode of the Clovers- |
開発 | Littlewitch |
ジャンル | ADV*3 |
発売日 | 2002/07/05 |
プレイ時間 | 約12時間(※) |
総評 | なし(暫定C) |
※1週目のノーマルルートのみ
特徴
FFD(Floating Frame Director)システム
本作の特徴の根幹を成すシステム。
名前のとおり、一般的なノベルゲームの作りである『背景+立ち絵+テキストウィンドウ』という決まった枠の中で中身を切り替えていくのではなく、漫画のコマ割りや吹き出しの様な形で枠に囚われることなく背景や科白を表示しています。
テキストによる説明ではなく、ウィンドウの使い方や細かい背景の切り替えで状況をプレイヤーに把握させる作りになっているため、テキスト量は非常に少ないのも特徴。
一般的なノベルゲームをやり慣れているとあまりに異質な表現方法に引き込まれて最初のうちは新鮮な気持ちでプレイできますが、慣れてくると次第に欠点が目立ってきます。
特に先述した様に演出面が弱く、盛り上がりに欠けてしまう欠点があります。
アニメの様な話の区切り方
1話を早めに読むと大体30分くらい、ちゃんとFFDの表示待つと3~4倍くらいかかりそう。
各話でOP・EDが流れ、OPの前にアバンがありEDに入る少し前から曲が流れ始める、といった形でアニメっぽい作りになっています。
FFDにより漫画風な画面であることもあり、漫画を文字通りそのままアニメ化してメディアとしてはゲームになった、様なごちゃごちゃした作品に仕上がっています。
ただ、アニメがこうしている理由は1話ごとに通常1週間なり隙間ができてしまうから。
『最初におさらいをして最後に次の話への引きを作る』のは視聴者を繋ぎ止めるためのやり方であって、すぐ次をプレイできる買い切りのゲームでこれをやる意味はあまりないはず。
実際、本作では良いところで区切ってる場合もあれば、「ここで切る必要ある?」と思ってしまう場合もありました。
テーマ(的なこと)
「創られた生命の存在意義」がテーマで、エンジンとしては「本来知り得ない知識を持つ者」。SF寄りのロボット物でよく見かける設定で、システムと違いこっちに目新しさがなかったのも一因。
音楽
Escape(オープニング)、シナリオ(エンディング)は本当に良いです。
(これのおかげで1週目だけは何とかプレイできたとも言えるレベル)
プレイしたきっかけがこれなのでまぁ
おまけ
アニメっぽい構成なのとか音楽は良いのとか諸々LOST CHILDぽいですね。